日本部活動学会 設立趣意書


日本における部活動は、長年にわたって発展を遂げ、学校教育に根付いています。教育文化の一翼を担っていると言っても過言ではありません。活動に参加することで児童生徒が生きがいを感じ成長・発達した実践などを通して、部活動の良さや価値は認知されています。ただし部活動に関する学術的な研究は、スポーツ科学や教育社会学をはじめとして研究成果が蓄積されている分野もあるものの、実践の隆盛に比べれば文献や論文は多くなく発展途上の状態にあると言えます。長年にわたって継続してきた要因や歴史的経緯を含め、部活動の教育的意義や価値、学校教育の中で果たす機能についてのさらなる研究が求められています。同時に各分野に散在している研究成果を横断し俯瞰する研究も必要です。
 近年では部活動のあり方が問われてきており、その存立の意味も含めて問い直しの声が広がっています。例えば児童生徒の負担の問題(家庭での時間や自由時間が少ない等)、顧問教員の過重負担、教員の全員顧問制と児童生徒の強制加入、過酷な練習や体罰、外部指導員との連携や質的向上、部活動指導員(職員)の確保、保護者の理解と協力、大会や練習時の送迎の問題、選手育成か教育かという目的に関わる問題など、多様な問題や課題です。これらを解決する方策を探り、部活動のあり方を考察するためにも、学術的な観点からの知見が必要となっています。
 部活動の研究には、その実態に即した多角的な分析が必要です。健康・安全、成長・発達、キャリア、生活など児童生徒の視点、指導方法、働き方改革、労働問題など教員の視点、外部指導者、社会教育との関係など環境整備の視点、法整備や指針、給特法など行政の視点等の多角的な視点からの研究が進展することで、部活動のあり方を総合的に分析・考察・追究し、実践に資する知見を提供することができます。
 そのためには教育学、教育心理学、教育社会学、カリキュラム論、教職論、教師教育学、教育史、特別活動、スポーツ科学、グループダイナミクス、法学、医学、ボランティア論、教育行政学、労働経済学など、多様な分野の研究者が集い、学際的な研究を進展させることが不可欠です。部活動の内容に関する分野としては運動関係だけでなく、文化や科学・芸術に関係する学問(文芸、書道、音楽、美術、演劇、映像文化、経済、自然科学、工学、家政、福祉、その他の文化芸能)の研究者や、教科教育系の研究者による知見も期待されます。
 また、理論研究だけでなく、実践に携わる小中学校、高等学校等の教職員等による実践研究も重要です。例えば、部活動の学校教育における位置付け、教員や児童生徒の負担軽減を図る仕組み・方策、休養日や大会のあり方、保護者・地域との関係づくりなどについては、ただ一つの正解があるものではありませんが、広く実践的な研究を行い、効果的な施策・取組等について企画、実施し、普及啓発を図っていくことが必要です。さらには研究者・実践者だけでなく、児童生徒の保護者、地域の指導者、教育行政関係者、部活動経験者などが集い、誰もが議論や協議に参加できる共通の場(プラットフォーム)が必要です。
 以上のことから、部活動に関する研究者、実践者、関係者が一同に集い、部活動を学術的に分析・考察し、実践に資するための知の蓄積およびそれらを公表し社会に貢献する場が必要であると考え、日本部活動学会(Japanese Association for the Study of Extracurricular Club Activities) JASECAを設立します。

 

設立発起人一同


2017年8月6日 ver.1
2017年12月14日 ver.2

2017年12月27日設立総会にて承認